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読売新聞の桃花台線インフラ利用に関する記事に疑問

桃花台線(ピーチライナー)に関する記事が、「YOMIURI ONLINE」に掲載されていました。

(愛知)桃花台線 廃線から2年(YOMIURI ONLINE)

記事によると、第1回目からトンチンカンな意見や議論を展開した挙句、1年以上にわたって会議をボイコットし続けていた桃花台線インフラ利活用懇談会」が、先日の批判報道を受けてか、ようやく10月に第3回目が開催される事が決まったそうです。

また正直これらがなぜ今更行なわれたのか、要請した桃花台線インフラ利活用懇談会の委員達やそれを受けつけた愛知県庁都市整備課の見識が疑われるのですが・・・
既に「桃花台線のあり方検討会」によって行われたと思われる「軌道(高架橋等)の耐震性」に関する調査や、こちらは桃花台線の廃止前や廃止後に様々な機関や団体によって数回行なわれ、全ての調査で「利用者が沿線地域の中でも限られた極一部の人しか利用しない!」とはっきりと結果が出ている「需要予測などの調査結果」が、またまたまたまた発表されるようです。

桃花台線のあり方に関する提言(※PDF形式)(愛知県庁)・・・「桃花台線は、桃花台ニュータウンの人口の約6%程度に相当する人が利用しているに過ぎない。」と言う調査結果が書かれています。ちなみにこの数字は、小牧市全体で言うと約1.6%になります。
最近のアンケート調査結果1(※PDF形式)(愛知県庁)
桃花台ニュータウン住民の公共交通機関利用状況 - その2(桃花台線、他)(桃花台新聞)

この記事に関する感想を書こうと思います。

こんなにひどい記事は、久しぶりに見ました。以前中日新聞が2005年に桃花台線存廃問題で、同じような現実を歪曲し極一部の限られた人の意見によって都合良く塗り固められ内容の記事を掲載していましたが、それ以来でしょうか。

中日新聞の桃花台線に関する記事に対して(桃花台新聞)
中日新聞の桃花台線に関する記事に疑問(桃花台新聞)
中日新聞の桃花台線に関する記事に疑問 - その2(桃花台新聞)

これまで私は、「YOMIURI ONLINE」の記事を結構評価してきました。特に桃花台ニュータウンに関する記事は、きちんと取材されているようでしたし、ちゃんと桃花台ニュータウンの実情を分かったうえで書いているように感じられました。
それらの記事を書いていた人と名前が違うので、おそらくこの記者は桃花台ニュータウンの事をまったく知らない人で、今回取材を行なった数人の人物にしか話を聞かず、適当にまとめたのでしょう。

名鉄小牧駅と桃花台ニュータウンを結ぶ新交通システム「桃花台線」が廃線となって間もなく2年。新たなバス路線が開設されたが、ニュータウン住民からは、残された高架軌道を別の公共交通手段として活用することを望む声も強い。愛知県は活用方策を検討するための懇談会を設置したものの、いまだに方向は示されていない。小牧市も静観を決め込んでおり、住民のイライラが募っている。

『(愛知)桃花台線 廃線から2年 : どうなる どうする』(YOMIURI ONLINE)

上記の「ニュータウン住民からは、残された高架軌道を別の公共交通手段として活用することを望む声も強い。」と言うのは、完全に間違いです。
そもそも桃花台ニュータウン住民でさえ、桃花台線に関する関心は極めて低いです。存廃問題しかり、現在のインフラ問題についても同じような状況です。なぜそうなのかと言うと、元々新興住宅地である為、街に関する関心が極めて低いです。そのうえほとんどの人が普段まったく桃花台線を利用していませんでしたし、現在もピーチバスは極一部の人しか利用していません(ちなみに補足しておくと、桃花台線よりも少ないです)。
「関心があるのは、家族の事や自分達が住んでいる家と敷地くらい」と言う人がほとんどでしょう。沿線に家があると言っても、実際インフラのすぐ横に建っているのは道路沿いの極限られた住宅のみです。その為インフラに関しても、すぐ横にインフラがある家は少し違うかもしれませんが、ほとんどの住民は「どうなるのかねぇ・・・」とまるで他人事のような状況です。
ほとんどの人が「ピーチバスに乗っていない」・「インフラについて関心がない」状況なのですから、望む声が極一部あるのは知っていますが、それが多いはずがありません。むしろ「ほとんどない」と言っても過言ではないでしょう。

それから「住民のイライラが募っている。」と言うのも、実際私を含め極少数の人達が、懸念を表明しているくらい。ほとんどの人は「関心すらない」・「他人事」な訳ですから、これも当然表現として完全に間違いです。

ちなみに、桃花台線廃止が騒がれた2006年1月~3月までの間でさえ、桃花台ニュータウン内の街頭で存続を訴える活動や利用促進活動は、まったく行なわれていません。更に運営会社の桃花台新交通常務の話では「問い合わせの電話すら一本もなかった」との事。
この事からも、桃花台ニュータウン住民がいかに桃花台線に関心がないか、また引いてはインフラ活用についてもほとんどの人が関心がないことがよく分かると思います。

■国道は渋滞

 ニュータウン内にあった3駅の一つ「桃花台西」駅前にあった商業施設「エステ」は、廃線前の2005年に閉店、現在は更地になっている。12店舗が並ぶ駅前商店街も人通りはまばら。商店経営者(57)は「人の流れも変わった。小牧駅に向かう国道155号は朝夕の渋滞がひどい。国道上にある高架軌道の利用を何とか考えてほしい」と訴える。

『(愛知)桃花台線 廃線から2年 : どうなる どうする』(YOMIURI ONLINE)

この内容も、明らかに意図的に現実を歪曲するやり方だと思います。上記の写真と合わせて「廃線によって駅前が非常に寂れた」と言う印象を読者に与えようとしているのでしょうが、そもそも記事にもある通り、商業施設「エステ」が閉店になったのは、桃花台線の"廃線前"です。閉店間際やそれ以前にもお店に数回行った事がありますが、一般的にこのような店舗(スーパーマーケット)がもっとも混雑するであろう夕方4時過ぎにも関わらず、お客は片手で数えられる程しかいませんでした。駅前商店街もずっとそんな感じで、桃花台西駅から降りた乗客のほとんどは、駅前商店街前の店舗には寄らず、また前を通る人も少なく、人通りは終日ほとんどありませんでした。そして今もそうです。なので、
桃花台線が廃止になった事と「エステ」が閉店になった事は、まったく何の関係もありません。

ちなみにこの点について補足しておくと、地図を見るとよく分かるのですが、駅前商店街を通る人は、駅の南側に住んでいる人のみです。

旧・エステの建物跡の航空写真(Yahoo! 地図)

そのうえ南側に住んでいる人であっても、例えば桃花台線のすぐ西側を平行して走る道路(県道453号)に出た方が良い人は、駅舎南側に設けられた駐輪場前を通って出る事ができるので、商店街の前を通りません。
それ以外の方向に住んでいる人は、自宅に向かうのにそもそも商店街前を通る必要がありません。

それと商業施設「エステ」の建物が撤去され、この地が更地になった理由は、駅前商店街の商店主達や共産党小牧市委員会がグルになって、建物内に誘致がほぼ決まっていた葬儀場および葬儀会社、そしてこの建物の所有者であった旧・エステ経営者に対し、周辺住民に悪い噂(「葬儀場ができたら地価が下がる」「葬儀場ができたら渋滞が起きる」「葬儀場ができたら子供達に悪い影響が出る」「旧・エステ経営者は最低な人間」等々)を吹聴して周ったり、住民の不安につけ込んで本当に悪質極わりない反対運動を煽導したからです。個人的にはもし葬儀会社や旧・エステ経営者が"業務妨害"や"名誉毀損"で訴えたら、勝つのではないかと思います。
挙句の果てには行政(小牧市)に対し、「建物を買い取れ!そしてここで俺達(商店主)が儲かる為に、高齢者福祉施設を作れ!!」なんて言っていたのですから。

小牧市 桃花台地域版(共産党小牧市委員会)

人の流れは、ほとんど変わっていません。国道155号の渋滞に関しても、桃花台線営業していた時から起きていた問題ですし、さしてひどくなった印象はありません。
それに朝・夕の通勤・通学時間帯に渋滞するのは、国道155号だけではありません。桃花台ニュータウン周辺だけで見ても、JR春日井駅高蔵寺駅へと伸びる複数の道路(桃山町経由の桃花台鳥居松線、大草経由の県道195196号、高蔵寺方面へと伸びる県道199号)などでも、平日ほぼ毎日渋滞しています。国道155号がこれらの道路と比べて、特別渋滞がひどい訳でもありません。
むしろ道路の幅が片側1車線しかない「桃花台鳥居松線」や「県道196号」、「県道199号」の方が渋滞はひどく、これらの道路を通るバスや車は、非常に大きな時間的ロスを強いられている事でしょう。

桃花台鳥居松線の朝の渋滞風景を撮影した写真(桃花台ニュータウン区長会)

■再活用に向けて

 廃線後、桃花台線の代替として名鉄小牧駅やJR春日井駅などへのバス路線が新設された。中部運輸局の利用者アンケートでは、「バスの遅れ」「運行頻度」に不満が多く、マイカー利用者の増加による道路渋滞の悪化も見られる。

 住民らが組織した「桃花台新バス交通網検討委員会」(今年3月解散)の委員長を務め、住民代表として懇談会に参加している大沢勲さん(68)は「需要からみても桃花台線と同じようなシステムの導入は無理。安価で汎用(はんよう)性の高いバスを中心にした方法で活用を考えるべきだ」と指摘する。

『(愛知)桃花台線 廃線から2年 : どうなる どうする』(YOMIURI ONLINE)

「バスの遅れ」や「運行頻度」に対する不満は、ピーチバスだけではありません。桃花台ニュータウンを走る他のバス(桃花台バスや、名鉄バスのJR春日井駅・高蔵寺駅・名古屋駅行きバス、こまき巡回バス)でも起きています。また小牧市内や愛知県内を走る沢山の路線バスでも、同じように不満として利用者に感じられている事でしょう。
にも関わらず、桃花台-小牧駅間のバス利用者だけを特別扱いし、莫大な費用を投じて高架橋にバスを走らせる事に対し、果たして愛知県民の中で納得する人がいるでしょうか?ほとんどの愛知県民は、まったく納得できないと思います。それにバスが高架橋の上を走れるようにするだけでも、福祉や教育、環境等々様々な予算が大幅に削られる事になります。

それとここで補足をしておきますが、大沢勲さんは、桃花台ニュータウン住民だそうですが、別に「住民代表」ではありません。記事でも「住民代表」と書かれていますし、実際委員会でもそう取られているのかもしれませんが、これは完全な間違いです。彼は単に"一住民(いちじゅうみん)"と言うに過ぎず、別に住民が「彼が代表になるべき」と選んだ訳ではありません。だから自分勝手に発言しているだけで、別に桃花台ニュータウン住民の事を考えて発言している訳ではありません。

それで彼の意見なのですが、「安価で汎用(はんよう)性の高いバスを中心にした方法で活用を考えるべきだ」と言うのは、彼の一個人としての意見です。住民のほとんどは、そんな事は考えていません。

それとこの意見は、まったくもっておかしな意見です。なぜなら既に「ピーチバス」と言う、安価で汎用性の高く、住民の意見などを受けて柔軟にルートを変えられる路線バスが、既存の会社によって運行されているのですから。なのになぜ、莫大な費用を投じて新たに作らねばならないのでしょう?

これは他の委員が出しているどの案(IMTSガイドウェイバス等々)についても、言えることです。仮に莫大な費用を投じて建設したとしても、利用するのは沿線に住む人の中の、更に限られた極一部の人達に過ぎません。そのため、当然かかった費用は全て「利用者負担」となるでしょう。
そうでなかったとしても、単純に考えてもピーチバスは「既存の会社」(あおい交通)が、「既存のシステム」(道路・バス車両)を使って、運行しています。桃花台新交通は既に破産している訳ですから、もしインフラを利用した交通機関を建設する場合、「新たに運営会社を作る費用」と「システム構築費用」、そして「耐震補強費用」がかかります。となれば、運賃は間違いなく相当高くなるでしょう。

2006年1月に桃花台線について桃花台ニュータウンで行われた住民説明会で、愛知県が「桃花台線を現行のシステムのまま存続させるのに可能な運賃」として試算したのは、「桃花台-小牧駅間(※片道)を"640円"にする」でした(桃花台線最終年の運賃は、"250円"です。またピーチバスの運賃は、"300円"です。)。

桃花台線に関する検討状況の住民説明会(※PDF形式)(小牧市役所)

また上記の試算運賃は、「桃花台線が現行のシステムのまま」と言う条件の元で出されたものです。IMTSにシステムを変更する場合は現行システム継続の倍、ガイドウェイバスに変更する場合は現行システムの3倍近くの費用がかかると試算されています。
となれば、これらのシステムでは"640円"を遥かに上回る運賃となるのは間違いないでしょう。果たしてそんな運賃で、一体誰が乗ると言うのでしょう?

更に状況は、桃花台線営業時よりも悪くなっています。一番大きなのは、100%競合する事になる"ピーチバスの存在"です。「こちらの方が桃花台線よりも良い」と言う声も聞かれますから、当然こちらに利用者がいくらか流れるでしょう。
またピーチバスは、愛知県があおい交通に依頼し、運行する事が決まった路線です。もしインフラを使った交通機関ができれば、あおい交通は大きな被害を受けるでしょう。いくらあおい交通が民間企業だからと言って、自分たちが困った時に助けてもらっておいて、事態が変われば後は知らないと言えるでしょうか?そのような事は、私は道義的に認められないと思います。

その他に、桃花台線廃止後、桃花台線を利用していた桃花台ニュータウン住民の移動手段は、"分散傾向"にあります。JR春日井駅経由に切り替えた人もおり、小牧駅とJR春日井駅は方向も利便性も異なる事から、元々こちら(JR春日井駅)経由の方が利便性が高かったのではないかと思われます。その為これらの人は、戻らない可能性は高いでしょう。そして桃花台ニュータウンの人口も、2005年をピークに減少傾向にあります。今後も減り続けるでしょうし、高齢化も進んでいるので、これも利用者減少に更に拍車を掛ける事でしょう。
利用者が減れば、当然その分運賃は更に高くなります。運賃だけを考えても、彼ら委員達が利用者の事をまったく考えていない事が、よく分かるでしょう。またインフラを使った交通機関をまったく必要としていない、ほとんどの桃花台ニュータウン住民やその他沿線地区住民、並びに愛知県民の事も何も考えていない事が分かるでしょう。

桃花台線インフラ利活用懇談会(Wikipedia)

桃花台線の施設の再利用に新交通システム??(桃花台線インフラ利活用懇談会)(桃花台新聞)
第2回桃花台線インフラ利活用懇談会が開催(桃花台新聞)
1年以上、会議すら行なわず!!(桃花台線インフラ活用懇談会)(桃花台新聞)

桃花台線廃止後の提案:高架橋はできるだけ早く撤去すべきだ!(桃花台新聞)

公共交通機関(桃花台 便利リンク集)
市役所、公共施設(桃花台 便利リンク集)

追記(12月6日)
この記事のタイトルを変更しました。

それと桃花台線インフラ利活用懇談会のひどい案に関する批判を分かりやすくまとめたマインドマップを作成しました。以下の画像がそのマインドマップです。

桃花台線インフラ利活用懇談会批判
桃花台線インフラ利活用懇談会批判 posted by (C)kyu3

興味のある方は、画像をクリックすると元画像(※かなり大きな画像です)が表示されるので、それをご覧下さい。

「マインドマップ」で検索(Yahoo! Japan)
「マインドマップ」で検索(Google イメージ検索)
「マインドマップ」で検索(YouTube)
[ 桃花台線関連の記事(桃花台新聞)]
車両1台が知立市で見つかる(桃花台線)
公式サイトが完全閉鎖(桃花台新交通)
敷地の一部が駐車場に!(桃花台新交通、光ヶ丘6丁目)

上記以外にも、桃花台線(ピーチライナー)に関する記事を多数書いています。もし興味のある方は、カテゴリ「桃花台線(ピーチライナー)」をご覧下さい。
[ 桃花台線廃止後の提案に関する記事(桃花台新聞)]
桃花台線廃止後の提案:高架橋はできるだけ早く撤去すべきだ!
桃花台線廃止後の提案:残った駅舎や高架橋をどうするか?
桃花台線廃止後の提案:残った駅舎や高架橋をどうするか?- その2
桃花台線廃止後の提案:残った駅舎や高架橋をどうするか? - その3
桃花台線廃止後の提案:残った駅舎や高架橋をどうするか? - その4
桃花台線廃止後の提案:桃花台東駅・桃花台センター駅間に歩道を作る - その2
桃花台線廃止後の提案:バス停を移動させたら・・・(旧桃花台センター駅付近)
桃花台線廃止後の提案:本社跡地を駐車場にするべきだ!
桃花台線廃止後の提案:桃花台東駅・桃花台センター駅間に歩道を作る
桃花台線廃止後の提案:桃花台センター駅・西駅間の軌道の一部を歩道にする

by kyu3_2 | 2008-10-09 02:07 | 桃花台線(ピーチライナー) | Comments(0)

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