桃花台線に関する書物の紹介:「桃花台線建設誌」
2005年 11月 27日
この本は、「愛知県庁」が、編集・発行を行なった本です。発行されたのは、平成 4年(1992年)3月。桃花台線が開業したのが、平成3年(1991年)なので、開業の翌年に書かれたと言うことになります。その為、書かれている内容は、開業されるまでの経緯や、建設に関する資料になります。
開業されるまでの経緯については、計画の段階から、様々な調査や検討が行なわれる過程、そして認可されるまでの事が、書かれています。載せられている資料には、当時、検討段階で使われたであろうものが、多数掲載されています。
建設に関する資料については、列車本体の構造や仕組み、高架橋の構造、運行に関わる様々な設備などが、図面付きで載せられています。かなり詳しい資料で、正直驚きました。
この本は、「小牧市立図書館 本館」と「東部市民センター 図書館」、そして「北里市民センター 図書館」に、所蔵されています。興味のある方は、借りて読んでみて下さい。
読んでみた感想を。
最近ニュースでも取り上げられたましたが、建設案の段階で、「競合路線(JR中央線)がまったく考慮されていなかった」というのは、どうやら本当のようです。どうして「小牧駅」方面へ、こんなにも人が行く需要があるのだろう?と、疑問に思うような需要予測が、書かれています。建設される事が目的であって、利用者の事は、その後の事は、まるで考慮されていない感じを受けます。
それから、いつも疑問に思っている事なのですが、桃花台線は、「上末駅」から桃花台方面へと坂を上ったあと、大きく曲って「桃花台西駅」方面へと、向かうことになります。この「曲る」というのが、どうも不思議でなりません。「桃花台センター駅」は「桃花台ニュータウン」の中心にあり、おそらくこの路線の中心となる駅として、建設されたと思います。その「桃花台センター駅」を基準に考えるならば、坂を上った後、曲らずにまっすぐ路線を通したほうが、建設しやすいと思います。しかし実際は、そうはなっていない。
この本を読んで、その原因が少し解かったような気がします。おそらく「桃花台ニュータウン」の方が建設が先に進んでおり、「計画案」や「街の概観」などが、先に作られてしまっていたのだと思います。その為、それに合わせた形で桃花台線の建設が進められた為、現在のような駅の位置になったのだと思います。
あとこの本で初めて知ったのですが、桃花台線は当初、「無人運行」の仕組みを導入する計画だったようです。それが建設案の段階で、「桃花台ニュータウン」の入居計画が変更され(入居するであろう住民の予想人数が、4万7千人 から 4万人へと変更)、その事などが原因で、費用が掛かる「無人運行」の仕組みの導入を止めて、現在の「有人運行」の仕組みに、変更されたそうです。
最後になりましたが、この本の存在は、鉄道や本についての blog 「Simplex's Memo」を書いている、HN(ハンドルネーム)「Simplex」さんに教えてもらって、知りました。感謝しています。
・公共交通機関(桃花台 便利リンク集)
追記(11月27日)
「小牧市立図書館」のHP(ホームページ)にある、「資料検索」を使って、所蔵されている書籍の検索ができます。それを使って「桃花台線」と検索してみたところ、「桃花台線」に関係する書物が、今回取り上げた書物以外に、2冊ありました。
その書物の名前は、「桃花台線(仮称)建設計画会議報告書」(桃花台線(仮称)建設計画会議 編 1976年出版)と「桃花台線(仮称)新交通システム計画の概要」(愛知県 企画部 交通対策室 編 1974年出版)です。いずれも、小牧市立図書館 本館 に、所蔵されています。
追記(12月1日)
「愛知県立図書館」のHPにある、「蔵書検索」を使って、「桃花台線」と検索してみました。すると、新たに1冊、「桃花台線」に関する書物を見つけることができました。
名前は、「新交通システム桃花台線計画誌 発想から着工まで(愛知県 土木部 編 1984年出版)」です。ちなみにこの本は、館内での閲覧のみで、貸しだしは「不可」となっていました。
[ 桃花台線関連の記事(桃花台新聞)]
・雑誌「鉄道ジャーナル」に、「桃花台線」に関する記事が掲載
・需要予測で、競合路線想定せず(桃花台線)
・愛知県庁で交通対策を担当する、部長の発言に対して(桃花台線)
上記以外にも、「桃花台線」に関する記事を、多数書いています。興味のある方は、「桃花台線(ピーチライナー)」のカテゴリを、ご覧下さい。
by kyu3_2 | 2005-11-27 23:36 | 桃花台線(ピーチライナー) | Comments(7)
駅で見つけた「歩いて楽しい小牧発見マップ」が、よく出来ていて、お土産にもらって来てきてしまいました。街もマップも、良い感じです。
>以前茨城県のニュータウンに住んでた時のことを、思い出しちゃいました。僕は、ちょっと苦手です。
私も、苦手です。それに、住みづらい!両親が、この土地の住宅を買わなければ、絶対に住むことはないと思います。
>駅で見つけた「歩いて楽しい小牧発見マップ」
私も、家に一枚、持って帰りました。とても完成度が高い地図だと思います。ただ悲しいかな、実際これを見て歩く人は、ほとんどいないとは思います。
以前は(ピアーレがオープンした頃)、頻繁に訪れたことが有りましたが、最近(10年ぶりでしょうか)はご無沙汰であったため、大草辺りの道は広くなっているなど、変化に驚きも有りましたが(ま、そうでしょうね・・・)。
詳細は私のブログでも載せたいと思いますので、ご覧くださいませ
(篠岡支所で桃花台線建設誌を拝見しました)。
※リンクHPから「名古屋交通コラム」ブログへアクセスできます。
「桃花台線建設誌」の感想、拝見させていただきました。
地元の方でなければ気づかない点、大変興味深かったです。
本書を再度読み返して見ましたが、以前から疑問に思っている事として「今のシステムを何故導入したのか?」という事があります。
「新交通システム」と一言で言っても多様なものがあり、。機種選定の経過が今ひとつ読みとれませんでした。
記事内の需要予測の件と合わせて疑問に思う所です。
桃花台線の問題を語る際に、経緯等を知っておいて貰った方が良いかと思って本書を紹介させていただいたのですが、参考になったようで当方、胸をなで下ろしている次第です。
>参考になったようで当方、胸をなで下ろしている次第です。
こちらこそ、教えてもらって、感謝しています。m( )m
「機種選定」の事、Simplex さんも、やはり疑問に思っているのですね。この点も、今後問題になってくる事かも、しれませんね。
でも高蔵寺につながるという当初の期待を裏切られ、実際に乗ったことがあるのは数えるほどしかありません。
廃止になりそうなのはすこし寂しい気もしますが、赤字をなんとかしてほしいものです。